安曇川沿岸廣瀬村外６ケ村は、昭和２３年８月以来沿岸７ヶ所の井堰を統合し、廣瀬地区内に合同井堰を設け、安曇川より取水しコンクリート水路により旧井川に配分すべく陳情を繰り返してきました。
昭和２４年のへスター台風により旧井堰が流出し大きな被害が発生しました。これを契機として井堰の復旧については、安曇川沿岸土地改良区を設立し、合同井堰を設置する動きが一段と高まり、滋賀県知事並びに県議会議長に強力な陳情がなされました。
昭和２４年１１月 滋賀県知事、滋賀県議会議長に 請願（陳情） 請願（陳情）書 １．請願（陳情）の要旨 へスター台風による災害復旧施設として安曇川合同井堰を県営で以て実施せられんことを請願（陳情）いたします。 １．請願（陳情）の理由 高島郡廣瀬村、安曇町、青柳村、本庄村、饗庭村、新儀村及び高島町の耕地2843町歩は安曇川より井堰を以て取り入れかんがいしているが、夏季渇水対策を講じてきたが、未だ用水の不足を補うに足らないので、かねて根本対策として、上流にダムを築造し合同井堰及び用水幹線を県営で以て実施せられんことを要望してきたが、今夏のへスター台風により各井堰は全部流失し、かんがいが不能となり、これを旧状に復するも再び災害を受ける慮が多いので、この根本的な復旧施設として、廣瀬村長尾地先に合同井堰を築造し左右両岸に配水を以って井堰復旧費を節減し、年々の水利費の節減を計りたく決意しましたが、何分関係区域が広汎に亘り各町村の水利費に重大なる関係を及ぼす工事であるから県営を以って実施せられん事を請願（陳情）いたします。 なお、この工事費は多額を要し低収入農家の経済状態においては、その負担が困難であるから、県財政多端の時局下とは存じますが、相当の負担を願い耕作農民の負担軽減に特別の御援助あらんことをお願いいたします。 昭和２４年１１月 日 安曇川沿岸土地改良区設立発起人 請願書 滋賀県議会議長 小林 郁 殿 陳情書 滋賀県知事 服部岩吉 殿
土地改良事業施行公告 １．県営安曇川沿岸土地改良事業の概要（麻生ダム建設）別紙 １．右地元団体として設立すべき安曇川沿岸土地改良区の定款作成基本事項 １．土地改良区の定款作成に当たるべき物の選任方法 右は県営土地改良事業申請人において作成するものとする 右土地改良法第5条第2項の規定により公告する 昭和２５年２月１日 安曇川沿岸土地改良区設立申請人 高島郡廣瀬村大字下古賀1316番地 北川佐十郎他35名（記載省略） 滋賀県知事 服部岩吉 殿
安曇川県営土地改良事業施行につき申請書 高島郡廣瀬村安曇町、青柳村、本庄村、饗庭村、新儀村、及び高島町の耕地2470町歩の大半は安曇川を水源として一部は谷水及湧水を利用しているが、毎年夏期灌漑期には流水著しく減少し屡々旱害を受けるので、井堰の補修揚水機を以って補給して居り、他方一旦豪雨に際会するときは、安曇川は氾濫し各用水取入堰はことごとく流失しその復旧には多大の資材と労力を費やしその負担に苦しみつつある現状である。 この対策として、安曇川上流にコンクリートダム（麻生ダム）を築造し、非灌漑期間の流水を貯留して夏期渇水期に備えると共に、別途災害復旧事業により廣瀬村地先に合同井堰を設け、河水並びに貯留水の全部を取入れ、更に左右両岸に幹線並びに支線用水路を配置して地区内は円滑に配水すると共に、排水路を開削して湿田を二毛作地化し、以って主穀の増産と農業経営の合理化を図り、井堰の復旧及び維持管理費の節減を図ることは、現下緊急を要する事業と存じます。ついては、このダムの新設及び用水路幹線工事は、滋賀県営を以って実施せられたく土地改良法第８５条の規定に依り申請いたします。 昭和２５年３月３０日 高島郡廣瀬村大字下古賀1316番地 北川佐十郎 他35名（記載省略）
昭和２５年１１月６日 土地改良区設立予備審査公告
昭和２６年２月２日 安曇川沿岸土地改良区認可申請書の提出
昭和２６年３月６日 県営土地改良事業計画書の縦覧公告
滋賀県指令耕１１３号 高島郡廣瀬村大字下古賀 北川佐十郎他 昭和２６年2月２日付け申請の安曇川沿岸土地改良区の設立の件第９号を以って認可する 昭和２６年３月１０日 滋賀県知事 服部岩吉